カラー専門店をお勧め出来ない理由
カラー専門店の現状と残留除去の本当の重要性
1. カラー専門店が増えている背景
ここ数年、美容業界では「カラー専門店」が急速に増えています。
カットやパーマなどは行わず、カラーだけに特化し、料金も通常の美容室に比べて大幅に安いのが特徴です。
お客様からすれば「短時間・低価格・手軽」に染められるのは魅力的に映ります。
しかし、この安さには必ず理由があります。
一見専門店と言われると「カラーのプロが集まっている特別なお店」と思われがちですが、実際には必ずしもそうではありません。
ここからは、安さのカラクリと、その裏に潜む髪と頭皮へのリスクを解説していきます。
2. なぜカラー専門店は安いのか
① 最大のコスト削減は“人件費”
カラー専門店では、スタイリスト1人が同時に複数人を担当するのが一般的です。
場合によってはアシスタントやパートスタッフ、時には美容師免許を持たないアルバイトが行うといったケースもあります。
これは人件費削減のためで、一人のお客様にかける人的コストを極限まで縮小しているからです。
② 薬剤の回転効率重視
カラー専門店で使用される薬剤は”時短”で染まる薬剤を使用しているケースが多くあります。
短時間で染まる薬剤は通常の薬剤よりも負担が大きくなりやすい為、取り扱いには注意が必要です。
更には、大量の薬剤を一度に作り置きすることもあります。
本来、髪の状態や希望色に合わせて毎回調合するのが理想ですが、効率を優先し、ある程度の“一括調合”を行うことで手間を減らします。
その結果、髪質や履歴に合わない薬剤が使われることもあります。
③ 工程の省略
低価格を維持するため、シャンプー・前処理・後処理のケア工程が省かれることが多くあります。
特に問題なのが「残留除去工程」を省くケース。
この省略が、後々の髪や頭皮トラブルに直結します。
3. 残留除去とは何か
ヘアカラーの施術後、髪と頭皮には「薬剤の残留物」が必ず残ります。
具体的には以下のような成分です。
過酸化水素(酸化剤):髪を明るくする漂白成分
アルカリ剤(アンモニアなど):キューティクルを開き薬剤を浸透させる
酸化染料(パラフェニレンジアミンなど):色を作る化学成分
これらは時間が経っても自然に完全には分解されず、髪や頭皮に残り続けます。
残留除去とは、これらをシャンプーや専用の中和剤で取り除き、髪と頭皮をできるだけ薬剤フリーの状態に戻す作業です。
4. 残留除去を怠るとどうなるのか
残留物は見えないため軽視されがちですが、髪と頭皮にとっては長期的なダメージの原因になります。
髪への影響
タンパク質の酸化:過酸化水素が髪内部のケラチンを酸化し、弾力とツヤを失わせます。
キューティクルの損傷:アルカリが残るとキューティクルが開いたままになり、内部成分が流出。
退色の加速:染料の分解が進み、色持ちが悪くなります。
頭皮への影響
慢性的な炎症:薬剤残留は頭皮のpHバランスを崩し、かゆみや赤みを引き起こします。
毛穴の酸化皮脂蓄積:過酸化水素が皮脂を酸化させ、毛穴詰まりの原因に。
薄毛・抜け毛リスク:毛根周囲の組織が酸化ストレスを受け、毛の成長サイクルが乱れます。
白髪増加の可能性
メラノサイト(髪の色素を作る細胞)は酸化ストレスに非常に弱く、残留薬剤による酸化は白髪化を促進する可能性があります。
これは科学的にも酸化ストレスと白髪の関連が報告されており、長期的には色素細胞の寿命を縮めます。
5. 化学的に見る残留の危険性
髪は死んだ細胞の集まりですが、毛根部は活発な細胞活動を行っています。
酸化剤やアルカリが毛穴に入り込むと、毛乳頭や毛母細胞のDNAを損傷する可能性があり、
これが長期的な細毛化・薄毛・白髪増加につながると考えられます。
さらに、酸化された皮脂は「過酸化脂質」と呼ばれ、強い毒性を持ちます。
これは肌の老化や炎症を加速させ、頭皮環境を悪化させる要因です。
6. 美容室での残留除去の現実
実は、通常のシャンプーでは残留物の多くは取り切れません。
残留除去には以下のような専用ケアが必要です。
中和処理:過酸化水素を酸化防止剤で無害化
酸処理:アルカリを弱酸性の薬剤で中和
キレート処理:金属イオンや酸化物を除去
しかし、カラー専門店や低価格サロンでは、この工程を省くことで時間とコストを削減しています。
つまり「安さ」と引き換えに、お客様は長期的な髪と頭皮の健康を失っている可能性があるのです。
7. まとめ
カラー専門店の低価格には、薬剤選定の簡略化、人件費削減、工程省略といった“見えないカラクリ”があります。
特に残留除去工程の省略は、髪のダメージだけでなく頭皮環境の悪化、白髪・薄毛リスクまで引き起こす可能性があります。
見た目の美しさは施術直後がピークでも、内部ダメージは時間と共に蓄積します。
本当に髪と頭皮を守るためには、その日の仕上がりだけでなく数年後の自分の髪と頭皮の状態を考えてサロンを選ぶことが大切です。
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