トリートメントの考え方(保存版)
トリートメントは多くのサロンで行われており、ここ十年でその需要はとても広がっています。
そして最近では髪質改善の名前が付くトリートメントも多くなってきてさらに需要が広がってきています。
さらさらツヤツヤになるトリートメントはお客様の満足度を上げるので
需要も多くなって当然と言えますね。
でも
何度も書いているのでちょっとしつこいかもしれませんが
髪は一度傷むとどんなトリートメントをしても元には戻りません
トリートメントの性能が良くなるとそこを勘違いして
「ダメージを負っても良いトリートメントをすれば大丈夫」
といった間違った考えの方も増えてしてしまうのでとても危険です。
そこで、今回はトリートメントの基本的な考え方を出来だけわかりやすく解説します。
トリートメントはあくまで補修工事
トリートメントの目的は治療ではなくあくまで補修です。
髪自体が治るのでは無く、傷んだ所や無くなってしまった所をあくまで代わりの何かで補強している状態なんです。
それは市販のトリートメントもサロントリートメントも変わりません。
価格が100円でも10万円でも同じ。
それらは特徴や性能の違い、種類等の違いはあれど補修しているだけという事に違いはありません。
傷んだら高いトリートメントをすれば治ると考えてしまいがちですがそれは間違いなんです。
身体の擦り傷や切り傷はよっぽどの事が無い限り時間と共に治りますが
もし爪が折れてしまったり歯が欠けてしまったら治る事はないですよね?
髪も同じように代謝機能の無い死滅細胞で出来ているのでその折れた箇所は治る事はないんです。
爪だったら接着剤である程度くっつく事が出来るかもしれないし
歯だったら歯のかわりになるセラミックなどで疑似的に歯を作る事は可能です。
しかし、髪はミクロの繊維が何万も重なって出来ているのでその1本1本を繋ぎ合わせるなんてどれだけ化学が進化しても不可能。
事実、今でもNASAが髪の構造を模倣した繊維を作ろうとしていますが未だに完成されていません。
髪とはそれくらい複雑な構造をしていてそれを完全に再現できるようになるまでは一度傷んだ髪を治す事も出来ないんです。
髪は減点方式
髪の耐久力を相称して「髪体力」といいます。
髪体力は人それぞれ
太さも硬さもキューティクルの枚数も人それぞれ
元々強い人もいれば弱い人もいる
髪体力は人によって違います。
でも一度失われた体力が回復しないのはみんな同じです。
失われた髪の体力は自然にはもちろんどんなヘアケアをしても回復する事はありません。
髪体力は加点する事の出来無い一方的な減点方式なんです。
例えば全くダメージの無い髪体力を100とした場合矯正やカラーを繰り返すとこんな感じ。
髪体力が無くなればどんなに強い髪でも切れたり、ゴムみたいに伸びたり、チリチリになったりと、とにかく髪が本来の形を維持できなくなってしまいます。
そして、髪は一度生えた状態からずっとダメージを受け続けていきます。
ショートの方は1、2年
ロングの方なら3年以上
その期間にどれだけ髪に負荷をかけているかを考えれば
何年も前に生えて今そこにある髪が傷んでいるのは容易に想像できます。
例えば毎月繰り返しカラーをしていくとすると髪体力はこんな感じ
この様に毛先にいくに連れてカラーをした回数が増えるのでその分髪体力は低下します。
よくロングにされている方が
「長いからいたむのかな?」
と言っていたりしますが正確に言えば長いから傷むのではありません。
長ければ長いほどその個所は生えてから時間が経過していて、その期間の負荷が全て重なっているという事。
逆に言えば髪になにも負担をかけなければどれだけ長くても髪は健康なままです。
髪体力は戻らないので負荷をかけた回数や量が多いほどそれだけ致命的になってしまうんです。
トリートメントをしても髪体力は減る
「髪のダメージが蓄積する前にトリートメントをすればそれ以上傷まないのでは」
と考える方もいますが実はそれも間違い。
トリートメントをしても髪体力が戻るわけではありません。
トリートメントの仕組みとはあくまでこんな感じ
結局はトリートメントで補修されたものは時間と共に無くなり
元の傷んだ髪に戻ってしまいます。
髪体力は何か髪に負担になる事をしない限り無くなる事はありません。
しかしトリートメントで補修されたものは普通に過ごしているだけでも簡単に失われていきます。
それはコーティング力の強い美容室のサロントリートメントでも同じ。
サロントリートメントは市販のトリートメントより強くコーティングするので多少長持ちはしますが、それでも数日から数週間でその効果は無くなります。
つまり
結局は元々の髪体力が失われた時点でもう何をやっても取り返しがつかなくなってしまっているという事になるんです。
じゃあ髪質改善なら?
じゃあ髪質改善トリートメントならばと考える方もいらしゃると思いますがどんなトリートメントも基本的には変わりません。
ほとんどの髪質改善は酸熱トリートメントの様に普通のトリートメントより定着力を高めてその効果を持続しやすくしたトリートメント。
あくまで治療では無くダメージを先延ばしにした延命処置の様な感じ。
ですので結局はそれを1、2か月以内に繰り返さなければその状態を維持する事もできず
継続しなければ結局元通りになってしまうんです。
髪質改善と言ってもほとのどの場合縮毛矯正の様にトリートメントに強めのコーティングをプラスしてある感じなのでそのコーティングが維持できる限界がその効果の限界。
つまり本当の意味で髪質が改善されるわけでは無いんです。
一度傷んでしまったらトリートメントだろうとどんな髪質改善だろうと同じ
結局はダメージを負うその前が重要なんです。
トリートメントは意味無いの?
一度ダメージを負ってしまった髪はトリートメントでも髪質改善でも元に戻す事は出来ません。
以前のブログで「トリートメントは化粧水や美容液ではなくファンデーションの様なもの」と説明しました。
ファンデーションやコンシーラーはあくまで素肌のシワやシミや肌荒れを隠すもの。
治すものではありません。
同じ様にトリートメントも髪のダメージを隠す為にものであり治す為のものではないんです。
化粧水や美容液は肌の様に代謝機能がある部分には作用するのですが、髪は死滅細胞であり代謝機能は無いので効果は期待できません。
ですので、美容液の様な効果が期待出来るとしたら代謝機能のある頭皮のみ
一度生えた髪にとっては肌と同じような意味の美容液なんて存在しないんです。
それでも傷んでいる所を切ったら短くなってしまうし
バサバサまま放っておくわけにはいかないというのが大抵の本音だと思います。
だからこそのトリートメント
トリートメントのコーティングにより絡まりにくくなるし見た目も綺麗になれる。
たとえそれが延命処置であれ一時的であれ綺麗になれるならそれでいい。
そういった感覚でトリートメントをするのが正しい使い方なんです。
確かに一時的なのかもしれないけどその期間綺麗でいられるならそれに越したことはないし
絡まりや引っ掛かりが取れるおかげでブラッシングなどによる負担も軽減できるし
まとまりが良くなって朝のスタイリングも楽になるし
何よりもバサバサのまま過ごす事はとてもストレスになるのでそれも大幅に軽減できる。
決して意味の無い事ではありません。
トリートメントはすでに傷んでしまっている髪や元々水分が少なくパサついている髪
そんな髪を綺麗に見せる為に使うファンデーションと考えておいた方が良いです。
そう考えればトリートメントで髪が治るわけないと理解できるし、傷んでもトリートメントをすれば大丈夫といった勘違いも無くなるはずです。
Rの髪質改善の考え方
当店の髪質改善の定義は
「髪を本来あるべき姿へ改善していくもの」
本来あるべきとは
髪がダメージを負う以前の状態とか弱ったしまう前の状態
無理なコーティングで作られた髪では無く自然で綺麗な素髪の事。
減点方式で失っていく髪体力を出来るだけ維持した状態で
ダメージの負のループを断ち切る事をテーマにしています。
そうでなければどれだけの期間や労力を費やしたとしても本当の意味で髪質が改善する事は無いからです。
重要なのは「傷ませない事」
生えた時の状態から出来るだけ傷ませない。
ダメージを負った状態からそれ以上傷ませない。
それが当店の髪質改善の基本であると考えています。
その為には美容室で行われている
カラーやパーマや縮毛矯正
それらをどれだけダメージを抑えてデザインを作っていくかが鍵になります。
(もちろんご自身のケアも重要ですが)
ですので当店の髪質改善はほとんどそういったメニューの施術中に同時に行っています。
ダメージを負う前に髪を補強して髪自体に受けるダメージを軽減
ダメージを負っている途中でおきる余計なダメージを軽減
そして施術後にそれ以上ダメージが進行していかない正常な状態に戻す。
こういった工程を繰り返す事で髪体力を残し髪質を改善していく事が出来る。
そして、こういった髪体力が減りにくい施術を繰り返していくと
先程の様に毛先に行くにつれて髪体力が無くなっていた状態が↓
この様に毛先まで髪体力が沢山残っている状態に改善していく事が出来る。↓
同じ髪質改善でも根本的に別物なんです。
だからこそトリートメントの効果が切れても髪の状態が極端に悪化する事も無く
本当の意味で髪質が改善されていくんですね。
まとめ
・髪は死滅細胞なので一度傷んだら元には戻らない。
・トリートメントをしても髪体力は減る。
・トリートメントで髪が治る事は無い。
・トリートメントはあくまで髪を綺麗に見せるファンデーション。
こういった事を誤解せずに理解してトリートメントを上手く使いましょう。
そして
健康で綺麗な髪を作る為に大事なことは何よりも
傷ませない様に大切に扱う事
だという事をわすれないようにしておいて下さい。
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