髪が退色しやすくなる理由
ブリーチをしたことがある方は経験があると思いますが
一度髪を明るくするとその後黒染めをしても必ず退色して明るくなっていきます。
それが例えブリーチでなかったとしても一度でも地毛より明るくした場合
その明るさまでは必ず退色してしまいます。
地毛の黒は自然に明るくなることはほとんどないのに、なぜ一度カラーした髪は黒染めをしても退色してしまうんでしょうか。
それは
髪を明るく(脱色)するという事は髪に穴をあけるようなものだからです。
髪に穴が開いている様な状態とは
髪に穴が開いているというのは実際な構造とは違いますが
こんな感じにイメージするとわかりやすいかもしれません。
(あくまでわかりやすくイメージしたものです)
髪を輪切りにしたような感じでイメージしてください。
この様に、カラーをしていない髪は何層にも色が重なっていて外側から見ると黒く見えます。
そして、内側に行けば行くほど明るくなっていきます。
そしてそこにドリルのようなもので穴をあけるとします。
そうすると、穴を空けたところから薬剤が浸透して髪の色が抜けていきます。
この様に、穴を空けた部分の色が抜けて髪が明るくなっていきます。
これが髪を明るくする(脱色する)という事です。
単純に、深く穴をあければあけるほど、髪は明るくなっていく仕組みになります。
そして、脱色した髪に染料を入れるとこんな感じになります。
脱色した時にあいた穴から染料が入っていき染まっていきます。
そうすることで、髪の中で残っていた元々の色と、カラーの染料が合わさった色になります。
(この図だと髪のブラウンに染料の青色が加わるのでアッシュ系の仕上がり。)
通常、ヘアカラーはこの脱色(ブリーチ)と発色を同時に行っていく事で、ブリーチ剤の様にただ明るくなるだけでなく、様々な色を楽しめる仕組みになっているんです。
しかし、問題はその穴
一度あいた穴はなにをしてもふさがる事がないので、その部分に入れた染料は自然と流れ出て無くなっていきます。
これがいわゆるカラーの退色というもの。
穴がある限りどれだけ色を入れても絶対にいつかは抜けてしまうんです。
つまり、穴があるか無いかが地毛の黒と黒染め後の黒の違いといえるんですね。
じゃあ穴をうめちゃえばいいじゃんと思ってしまいますがそれがとても難しい。
多くのトリートメントはこの穴を埋めるかの様に表現していますが
どんなに高性能のトリートメントをしても効果は一時的だし
完全にその穴が塞がる事はありません。
だって本当にこの穴が埋まるならカラーが退色することがなくなるって事ですからね。
傷んだ髪が再生することが無いのと同じで、現段階ではまだそんな夢のようなものは存在しないんです。
ですので大事なのはカラー時に発生するその穴を
”出来るだけ小さく少なくしてあげる事”
そして一度あけた穴が
”広がらないようにする事”
この2つが退色を防ぐ為の最善の策になってきます。
アルカリはドリルのようなもの?
髪にあく穴にはカラーに含まれるアルカリが大きく関係しています。
髪を明るくする時に髪に穴をあけなけばならないとしたら、アルカリはその穴をあけるためのドリルそのもの。
なので、そのアルカリの強さや量などによって髪にあく穴は変化します。
例えばアルカリの強さ(pHの高さ)はドリルの長さのような感じ。
長いドリルを使うと穴は深くなります。
この場合、穴は小さいので退色していくペースは遅いが抜けるとかなり明るくなります。
しかしハイトーンに染める場合や高彩度のカラー、透明感のあるカラーをする場合、深く穴をあけて出来るだけ多くメラニンを分解して明るくする必要があります。
ブリーチはカラーの中で一番ドリルの長さが長い薬剤と言えますね。
ですのでブリーチオンカラーはどんな色を入れたとしても最終的にただの金髪になってしまうんです。
そして次にアルカリの濃さ。
アルカリの濃さははドリルの太さのようなイメージになります。
太いドリルを使うと大きな穴があきます。
この場合、穴が深くなければ極端に明るくなる事はありませんが、穴が大きいので色の抜けるペースは速くなります。
しかし、時短で染めようとしたりコーティングなどで染まりにくい状態の髪を染めるには、
どうしてもこういった効果が必要になります。
市販のカラー剤も手軽に染めやすくしている為、こういった仕組みにしているものも多く、その為サロンで染めるよりも色持ちが悪くなるんですね。
ただし、サロンでもクイックカラー等の時短で染めるものは同じ様なやり方をする場合もあるのでさほど違いはありません。
染まりにくい髪にはまず、髪を染まりやすい状態にしてあげたり、時間をしっかりと使って染めてあげる事も退色を防ぐ方法の一つといえます。
そして最後にアルカリの量。
量が多いとは単純にドリルの本数が増えるような感じです。
ですので、この様に穴が沢山出来るということです。
この場合も穴が深くなければ極端に明るくはならないのですが、色の抜けるペースは速くなります。
しかし、穴を多くあける事でカラーの時短になったり、色々なところから染料が入るので染まりムラが出にくく染まり上がりは綺麗に見えやすいと言えます。
こちらも市販のカラーや高発色のカラーに多い傾向にあります。
基本的にカラーの仕上がりの綺麗さは、このアルカリの量に比例しやすい傾向があります。
穴を沢山あけてそこにしっかりと染料を入れれば、場所によって染まりが変わってムラになってしまったりしにくいし、沢山染料が入れば入るほど色は綺麗に見えます。
つまり、アルカリの量が多いほど簡単に綺麗に染まるカラー剤になると言う事になります。
最近最も多いカラー剤ですね。
アルカリの種類で言うとこの3種類に分けられるのですが
ただ、どのカラーもこの3つのどれか1つというわけでは無くこの3つ全て当てはまったりする事も全然あります。
例えば、世間的にハイブリーチと言われているものはこの3つ全てに当てはまります。
それは、それぐらいアルカリを強くしないとなかなか希望の明るさにはならないからです。
ですので単純にアルカリが悪ということなのではなく
デザインや用途により上手く調整していく事が必要になるということです。
ただ、時短の為とか、簡単にする為に使うアルカリは必要以上に髪の退色を早めるものだと認識しておいてください。
ちょっと話はずれますが
最近多くのサロンで使われていて、当店でも使用しているブリーチのなかでもケアブリーチという、従来のブリーチよりもダメージを抑えたブリーチがあります。
こちらもブリーチな事には変わりが無いので強いアルカリが沢山使われています。
しかしケアブリーチには酸性の成分が入っているので髪の強度が上がります。
酸性の成分でアルカリが中和されているわけではないのですが、穴の周りが酸で補強され、穴が余計に広がらないようになっている感じです。
なので、普通のブリーチよりもダメージが抑えられるんですね。
ただ、それもあくまで補強なので時間と共にその効果は薄れていきます。
ケアブリーチだから大丈夫だと過度に期待するのはちょっと危険かもしれませんね。
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