ブリーチ無しで〇〇なカラー?
ヘアカラーをされている方で美容室に行く前にやりたいカラーの画像を検索されたりする方はいらっしゃいますか?
もしかしたらそのカラーは普通では不可能な色かもしれません。
最近はインスタなどでヘアカラーを検索すると沢山の写真がでています。
しかしその中で注意して頂きたいのが
「ブリーチ無しで高彩度カラー」とか「ブリーチ無しで外国人風カラー」などの
”ブリーチ無し”を強調しているもの。
ブリーチ無しでのグレージュというとこんな感じの写真がでてきます。
数年前から根強い人気のグレージュ
こんな感じのカラーが本当にブリーチ無しで出来たら最高です。
でも実はこれ
”写真の加工です”
元々の写真はこれ
比べてみると全然違いますよね。
でもこの程度でしたら正直パソコンの苦手な私でも数分で出来ちゃいます。
拡大して見たらすぐにわかるくらいのレベルですが
スマホの画面でなんとなく見る程度ならわからないかもしれません。
完全な素人でこれくらい出来るなら
ちょっと詳しい方がやればほとんど見分けがつかないぐらいの加工は簡単だと思います。
調子に乗ってこんなのも作ってみました。
さすがにわざとらしいですかね。
でもこの様に写真ではヘアカラーはどうとでも作れてしまいます。
ネット上に出てくるヘアカラーやヘアスタイルの画像は、ほとんどの場合”どこかの美容師の宣伝”の為に作られています。
そして、今ではほとんどの美容室がインスタなどに写真を載せているので
他店との差別化をはかる為に出来るだけ他では出来なそうなワードを使用します。
それが
”ブリーチ無しで”というワード
他の店で
「これはブリーチしないと出来ないよ」とか「この色にはならないですよ」とか言われた人がこのワードを見てしまうとどうしても気になってしまいます。
こういった注目されやすいワードというのはネット上では当たり前に使われているので注意が必要です。
特にこういった写真は信憑性が薄いのであくまで参考程度にしておかないといけない。
では、本当にブリーチ無しでこういったカラーは可能なのか?
答えは
かなり条件が揃った時のみ可能で、それ以外はどんなカラー剤を使用しても絶対に不可能です。
実際ブリーチ無しで高彩度のカラーが出来るのはかなり条件が必要です。
条件となるのは2つ
「今までのカラーの履歴」
「地毛のメラニンの量と種類」
1つ目は”前回までにいつどんなカラーをしてきたか”
もっと言えば今までのカラーでどれだけメラニンの量を減らせたかが重要になります。
例えば
ブリーチはしてないんだけどハイトーンのカラーをマメに何回もしていたり
今までに何回もハイライトを入れていたりする場合
元のメラニン色素の残量が少なくなっているので高彩度のカラーをしやすい状態になっています。
でもこれって
その時はブリーチをしていないんだけど結局は事前にブリーチをしてあるのとほぼ同じなので、これでブリーチ無しと言えるのかは疑問なところ。
1回で染めるか何回かに分けて染めるかの違いでしかありません。
2つ目は”地毛のメラニンの量と種類”
元々髪はメラニン色素がありそれが沢山あると黒く見えるのですが、実はメラニンには2種類の色があります。
一つは赤褐色のメラニンともう一つは黄色っぽいメラニンです。
そして、この2種類は人によってバランスが大きく異なります。
例えば、欧米系の方の地毛とアジア系の方の地毛ではメラニンのバランスが大きく違います。
欧米系の方は金髪のイメージがありますが実際は暗い髪の方の方が多くほぼ黒と言える方もいらっしゃいます。
しかし、アジア系の黒髪にくらべ欧米系の黒髪はマットな質感で青ががかっていて光に当たると白く光ります。
これはメラニン色素のバランスの違いが原因
欧米系の方は赤褐色のメラニンの量が少ないので髪に赤み少なく
そのため、ブリーチをするとオレンジにはならず黄色から白っぽい色になります。
これがよく言われるブロンドというもの
しかし赤褐色のメラニンの比率が多い日本人の髪ではかなり明るくしないと赤みがのこってしまいます。
この様に19レベル近くまでブリーチ(脱色)しないと赤みは完全には無くならなりません。
そこまでいかないにしてもかなり明るくしてからでないと高彩度のカラーや透明感のあるカラーにはならないのです。
つまり2つ目の条件とは
“元々メラニンの量が少なく更に赤褐色のメラニンが少ない髪“の方となります。
自分ではなかなか判断しにくいかと思いますが
そういった方の髪は大体、軟毛で細く地毛が少し明るい傾向にあります。
ブリーチ無しで高彩度のカラーをする条件をまとめると
“地毛のメラニン量が少なく特に赤褐色のメラニンが少ない方で、直近でハイトーンのカラーを繰り返し更にメラニンの残量が少なくなっている方“
に限られます。
実際にこういった方ってかなり限定されますよね?
現在国内でも多種多様なメーカーでこういった“ブリーチ無しで○○なカラー“をするための薬剤が多く作られています。
メーカーによって程度の違いはありますがほとんどの物があくまで条件が揃った上での話
完璧と言えるものはまだ見た事がありません。
更に写真の加工や都合の良い宣伝文句などでお客様側が思っているカラーと実際に出来るカラーのギャップがかなり出てきてしまっているような気がします。
以前来られたお客様で
“染めてから1週間もしないで金髪になってしまった“
という方がいらっしゃいました。
ご本人の話だとブリーチはしていないそうですが
前回オーダーした写真を見せてもらうと明らかにブリーチしないと出来ないのカラーでした。
しかしその時は
「ブリーチはしないけどにカラーに明るくする薬剤を入れときますね」
と言われたそうです。
その場を見ていないのでなんとも言えませんが
状態を見る限り、恐らくカラーにブリーチ(的なモノ)を混ぜて無理やり明るくした後カラートリートメント等で少し色を加えたのかと思います。
つまり、本人の意図としないところで簡易的なダブルカラーをしてしまっていた可能性が
もちろん本人はそんなことを知らないので
普通のカラーをしただけなのに退色が早く色が抜けたら金髪になってしまったことに驚いてしまった。
ちゃんと説明できていなかったことが問題ではありますが
やはり事の発端は最初の写真なのではと思います。
ブリーチ無しで出来ると信じてしまっているその写真を見せているのだから
きっと普通に出来るはずと思い込んでしまっていた。
出来ないと言われれば裏切られたような気持になってしまうし
やる側も気を使ってしまって説明しにくかったのかもしれない。
こういった事ってお客様も美容師もだれも得しない誤解ですよね。
以前ブログに書いたように美容室は誤解を招く表現が多い
特にネットやSNSの写真は注意が必要。
こういった写真は誰の為に載せているのかを考えればきっと正確な判断ができます。
ほとんどの写真は”載せる側の為”でありそれを見ている”あなたの為”ではありません。
それを肝に銘じておいて下さい。
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