縮毛矯正後のシャンプーは何日後?
縮毛矯正をかけた後、何日シャンプーしてはダメ?
「縮毛矯正をかけたあとって、何日シャンプーしちゃダメですか?」
お客様からこの質問をいただくことはとても多いです。
ただ、答えは美容室によって本当にまちまち。
あるお店では「1日あけてください」、
別のお店では「3日間は洗わないで」、
中には「できれば1週間は我慢して」と言われることもあります。
これだけ答えがバラバラだと、
「いったい何が正しいの?」と不安になってしまいますよね。
ですが、実はこの疑問には明確な答えがあります。
結論:縮毛矯正はかけた当日にシャンプーしても大丈夫です。
意外に思うかもしれませんが、
基本的に縮毛矯正をしたその日にシャンプーしても、
仕上がりが悪くなったり、取れてしまうことはありません。
では、なぜ今も「〇日あけてください」と言われることが多いのか。
そこには、昔の美容業界で信じられていた“ある誤解”が関係しています。
「空気酸化」という古い理論の名残
縮毛矯正の基本的な流れを簡単に説明すると
① 一剤で髪の内部の結合(シスチン結合)を一度切る
② アイロンで髪をまっすぐな形に整える
③ 二剤(過酸化水素やブロム酸など)で酸化させ再び結合を固定する
というプロセスになっています。
この工程を経て、髪の形はしっかりと固定されるのですが、
昔は「二剤の酸化ではまだ完全に固定されておらず、空気中の酸素でさらに酸化させて安定させる」という考え方が強く広まっていました。
これが、いわゆる**「空気酸化」**という理論です。
つまり「まだ酸化が不十分だから、何日かはシャンプーせずに待ってね」という説明がされていたわけです。
しかし現在では、この空気酸化というものは完全に否定されています。
髪は死んだ細胞であり、空気中の酸素が髪の内部に入り込んで酸化反応を起こすことはありません。
「空気酸化」というのは、今では科学的根拠のない“空想理論”となっているんです。
それにもかかわらず、この理論をもとにした指導や説明が今も一部の美容室では続いているのが現状なんです。
空気酸化の実験
すでに様々な検証実験が行われていますが
こちらはわかりやすい画像ですのでお借りしました。
※これはパーマでの検証です
左は2剤まで処理した後の髪
右は1剤を流してそのままの状態の髪
もし空気酸化にがされるとしたら右の毛は酸化してもうパーマはかならないはずです。
以前空気酸化には24~48時間必要と言われていたので
このまま1週間放置します。
1週間後に水で濡らしてロッドを巻き2剤処理をしました。
もし空気酸化されているならばパーマがかかるわけありません。
しっかりパーマがかかっています。
1週間(168時間)も空気に触れていたのに普通にパーマがかかるという事は
全く空気酸化をしなかったと言えるんです。
少し一般の方にはわかりにくいかもしれませんが
これを見てわからない美容師はいないかと思います。
「当日シャンプーはダメ」と言われるもう一つの理由
その他にも「洗わないほうがいい」と言われることがあるのは、
薬剤に含まれるコーティング成分の影響があります。
縮毛矯正の薬剤には、仕上がりをツヤツヤに見せたり、
手触りを良くするためのコーティング剤が入っていることがあります。
しかしこのコーティングは、あくまで“見た目”を整える一時的なもの。
シャンプーをするとそれが落ちるため、少しツヤが減ったように感じることがあります。
そのため
「せっかく矯正をかけてさらさらになったのに手触りが悪くなった」
と感じて欲しくない為、出来るだけシャンプーを控えて欲しいのです。
ただし、ここで大事なのは――
コーティングが落ちることと、矯正が取れることは別問題ということ。
本来、縮毛矯正の仕上がりは薬剤反応でしっかりと固定されています。
シャンプーで取れてしまうのはあくまで表面のコーティングであり
矯正のかかりとは全く関係ない事なんです。
当日シャンプーで取れるなら、それは“空気酸化不足”ではなく“技術不足”
もし「当日洗ったら取れた」「うねりが戻った」ということが起きた場合、
それは空気酸化が足りなかったからではなく、
施術そのものに問題がある可能性が高いです。
たとえば
・2剤の酸化が不十分だった
・1剤の流しがあまく髪の内部に残っていた
・単純にかかりが弱かった
などが考えられます。
これらはすべて「空気酸化」とは無関係で、
技術精度や薬剤管理の問題です。
かかりが弱かっただけならまだしも、こうしたミスは、結果的に髪の内部を傷つけ、
後々のパサつきや広がり、枝毛の原因にもなってしまいます。
つまり、「当日洗ったから取れた」のではなく、
「そもそも正しくかかっていなかった」可能性が高いということです。
美容室での“説明”に注意
お客様が気をつけたいのは、仕上がりのツヤや手触りだけではなく、
施術前の説明内容にも注目してほしいということです。
もし美容室で縮毛矯正を受けるときに
「空気酸化」という言葉や、
「何日かけないと定着しない」「シャンプーすると取れちゃう」
といった説明をされた場合、要注意です。
それは知識の更新が止まっているか、
科学的根拠を十分に理解していない可能性があります。
もちろん例外もあり
単純に髪の負担を軽減したいという気持ちからの言葉である事もあります。
ただ、根拠のない説明でお客様に制限を与えるのは本末転倒です。
安心して施術を受けたいなら、
「なぜ当日ではだめなのか」をきちんと理論的に説明してくれる美容師を選ぶこと。
それが、髪を守るうえで一番大切なことです。
例外:ハイダメージ毛やブリーチ毛の場合
ただし例外として、ブリーチ毛やすでに強いダメージがある髪
または前回のカラー等の施術で残留が多い場合などでは少し注意が必要です。
ブリーチ毛や、すでにダメージが進行してしまっている髪は
内部の結合が部分的に壊れているため、薬剤が正常に反応しないことがあったり
ダメージによるタンパク質の流出により“よれ”や“うねり”が出やすくなるため
シャンプーによる変化が出ることがあります。
ただしこれは、「空気酸化を待つために洗わない」という話ではなく、
髪のコンディションを守るために慎重に扱う必要があるというだけのこと。
つまり、根拠は“空気”ではなく“ダメージ”にある、ということです。
ただでさえ縮毛矯正は髪の負担が大きい施術なので
かけた後のケアはどちらにしても大事にする必要があります。
正しい知識が、美しい仕上がりを守る
縮毛矯正は、薬剤反応のバランスとアイロン操作が非常に繊細な技術です。
そのため、美容師側の理解度や薬剤コントロールが仕上がりを大きく左右します。
「空気酸化」を信じていた時代の理論に頼るのではなく、
今の科学的知識と経験に基づいて施術を行うことが、
髪を守り、美しいストレートを長く楽しむための第一歩です。
まとめ
・基本的に縮毛矯正した日にシャンプーしても問題ない。
・髪の「空気酸化」は現在では否定されている危険な理論。
・「〇日あけて」は美容師の不安(=取れてしまうのではという不安)から生まれたもの。
・当日シャンプーで取れるなら、それは施術の精度に問題がある。
・ダメージ毛やブリーチ毛は慎重な扱いが必要。
縮毛矯正をかけた時に「空気酸化」という説明が出たら要注意。
縮毛矯正は、正しい理論と確かな技術があってこそ本来の美しさが保たれます。
もし美容室で施術を受ける際は、ぜひ説明内容にも耳を傾けてみてください。
「当日シャンプーしても大丈夫ですか?」
この一言にどう答えるかで、その美容室の“技術への理解度”が見えてきます。
縮毛矯正は美容室で1、2位を争うくらいダメージリスクの高いメニューです。
髪を傷ませず、長く綺麗なストレートを保つためにも、
正しい知識で施術してくれる美容師を選びましょう。
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