"かけ直し”の在り方
美容室においてどうしても「かけ直し」という言葉にネガティブな印象をもってしまいます。
もちろんお客様にとって
「美容室ってただでさえ時間がかかるのに2回もいくなんて時間がもったいない」
と思って当然だし
「何回もパーマや矯正をかけると傷むのでは?」
といった心配があると思いますし
「なんとなくかけ直してって言うのは気まずい」
という方もいらっしゃいます。
当然の如く一回で済むならそれに越したことはない。
美容室側にとっても
ほとんどのお店ではかけ直しを無料で行っています(一部有料もありますが)
そのため薬剤や人件費の等のコストがそのまま乗っかってくるので
あまり歓迎といった感じににはならない事もあります。
つまり「かけ直し」はお客様側も美容室側も出来るだけ避けたいこと
しかし
以前、ブログで書いたようにかけ直しの可能性の少ない無難な施術にすればするほど髪のダメージは進行しやすくなる。
逆を言えば
”ダメージを気にすればするほどかけ直しのリスクは高くなる”
という現実があります。
そして多くの方が誤解している事が
”強くかければモチが良い”と勘違いしてしまっている事。
実際は
パーマや矯正はある一定のライン(個人差があります)を超えてしまえば
それ以上はモチが良くなる事は無く
むしろダメージの進行によりモチが悪くなる可能性の方が高い。
よく連続してパーマや矯正をされている方で
「今回はモチが悪かった」
と感じた事があるのではないでしょうか?
初めてご来店頂くお客様からこういったご相談を受ける時
多くの場合、パーマや矯正のかかり具合に問題があるのではなく
ダメージによるダレやヨレが原因である事があります。
この場合
「前回のパーマや矯正で限界を超えてしまった」
又は
「すでに髪体力の限界を超えてかけられる状態ではなかった」
このどちらかである可能性が高い。
そしてこの2つに共通して言える事は
”今後しばらくはまともにパーマや矯正をかける事は困難”ということ。
結果論ですが
こうなる前になんとかしなければならなくて、こうなってしまってからではもう手遅れになります。
この様な困った状況を増やしているのが
強くかけた方がモチが良くなるという勘違いと
かけ直しを嫌がってしまう背景があるのではないかと思います。
そして昨今の美容室はこの”かけ直し”に対してかなりシビアになっている気がします。
それは最近の美容師の働き方が大きく関係しているのかもしれません。
美容師業界ではひと昔前のカリスマブームが終わった後
大手の有名サロンでも閉店してしまう事が多くなりました。
どこで働いても将来の安心は無いのも同然となり個人で独立する選択をする人が増えました。
しかし、独立と言ってもそれなりに資金が必要なので誰でも出来る事ではありません。
そういった美容師が働く場所として
「面貸し」や「シェアサロン」といったそこで働いているんだけど実際は個人で店をやっているような働き方
つまりフリーランスとして働く美容師が増えました。
こういったサロンは、はたから見れば普通のサロンと同じ様な感じですが
実際にそこで働いているスタッフはそこの社員ではありません。
なので、やり方もばらばらだし場所によっては隣のお客様に話しかけることすら禁止になったりすることもあります。
しかし
基本的に最低限のルールの中で自由に働けるので
出勤時間や休日も自由だし、やり方も個人で決められる事が多い。
極端な話今日は眠いから休もうと言っても誰にも文句は言われません。
中身はあくまで個人個人ががそれぞれのお店を一つの場所でやっている感じなのです。
そして、そういったサロンでは働けば働くほどお店のレンタル料みたいなものが発生します。
ですので、出来るだけ短時間で売り上げを上げる方が利益になりやすい。
もし仮に、レンタル料より売り上げが低いとマイナスになってしまったりもします。
そこでテーマの”かけ直し”の問題に戻ります。
もしこういった場所でかけ直しをする場合
そこで働いている人は薬剤等のコストだけでなく時間分レンタル料も払わなくてならないので、かけ直しが増えれば増える程赤字が膨らんでいく仕組みになってしまいます。
そうなると絶対にかけ直しにならないようにするのは当然ですよね。
もしこういったフリーランスで無かったとしても
かけ直しに対して罰金があるというサロンの話も聞いたことがあります。
どちらにしてもこのかけ直しというものに対して
“なんとしてでも避けなければならない状況“で働いている美容師が増えている事は事実だと言えます。
この様に、昨今の美容師の働き方ではかけ直しに対してシビアにならざるを得ない。
そういった事も必要以上に髪体力を低下させる原因にもなっているのだと思います。
そもそも”かけ直し”ってそんなに無しなのか
この問題の答えって正直無いと思います。
「ダメージを抑えられるけどかけ直しのリスクがでる施術」にするか
「ダメージはあるけどかけ直しのリスクが少ない施術」にするか
最終的にはお客様に選択してもらうしかありません。
ただ、何も知らないままされているその施術がこのどちらなのか
それを知っておくことは大事だと思います。
当店ではお客様から御要望がない限り出来るだけ前者を選択するようにしています。
それはいつも書いているように
「一度傷んだ髪は二度と元には戻らない」からです。
これは今後再生医療のような髪を細胞から復元できる夢のようなものが出来ない限り変わりません。
ただ、かけ直しというものはないに越した事はないので
あくまで前者を前提とした上で出来る限りダメージを抑えつつ出来る限りかけ直しのリスクのない施術をする為に
「どれくらいだったらリスクを抑えられるのか」とか
「どれくらいのダメージがでる可能性があるのか」などをご理解頂けるよう心掛けています。
そういったことがわかった上で
「そのうちショートにするからガッツリやっていいよ」みたいな事も全然あります。
そもそもダブルカラーやハイライト等のデザインカラーとかはある意味ダメージがある前提だったりしますしね。
でもブリーチしたら痛むって事は誰でも知っている事だからいいのですが
矯正やパーマのダメージって実際どれぐらいなのか良くわからないですよね
それは同じパーマや縮毛矯正でもやり方でかなり差がでてしまうからです。
だからこそそこに誤解が生まれてしまう
なのでまずご理解して頂きたい事は
「ダメージの無いパーマや矯正なんて存在しない」事と
「強くかければモチが良くなるわけではない」事と
「ダメージを抑えた施術程かけ直しのリスクはでてくる」ということ
この3つは前提として覚えておいていただきたいと思います。
そして
”かけ直し”って決して悪いことでは無く場合によっては必要な事であるという事が
美容室側にもお客様側にももっと浸透できたら
髪の余計なダメージも減るし、余計なトラブルも減るのではと思います。
当店ではお直しは無料で行っておりますのでお気軽にご相談ください。
ただ注意事項として
1、カウンセリング時の希望と異なるデザインは別途料金が必要となります。
2、髪の状態的にお勧めできない施術はお断わりする事があります。
3、当日のお直しは予約状況次第で後日ご来店いただく形になる事があります。
以上、予めご理解いただきますようお願いいたします。
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