まさか?!縮毛矯正に癌のリスクが?

先日のヤフーニュースにこんなものが

縮毛矯正をかけている方からするとなんとも怖いニュース。

もしかしたら自分も?なんて心配になってしまう方もいらっしゃると思います。


実は以前からこういった記事は度々書かれているのですが

最近またやたらとネットやSNSで見かけるようになりました。


当初はさほど気にしていなかったのですが、SNSの影響力を考えるとこれはちょっと心配になってしまう方も増えるかと思うので少し解説していきます。




事が大きくなった発端は去年の10月頃こんなニュース。

縮毛矯正剤を長年使い続けたことが原因で子宮がんになったとして、米ミズーリ州の黒人女性が仏化粧品大手ロレアルなど複数のメーカーを相手取り、損害賠償を求める訴えを起こした。というもの。



そしてこの提訴のきっかけになたのが

この数日前に米国立がん研究所ジャーナル(Journal of the National Cancer Institute)に掲載された化学薬品を用いた縮毛矯正剤の使用と子宮がんとの関連性を立証した論文。


論文の内容は

”米国国立環境衛生科学研究所主導で実施された、環境と遺伝子が乳がんの発症にどのように影響するかを研究したSister Studyの参加者3万3万3947例を対象に、ヘアケア製品使用と子宮がん発症の関連を検証。

被験者は過去12カ月間での染毛剤、縮毛矯正剤、リラクサー、整髪料、パーマ、ボディウェーブなどのヘアケア製品使用についての質問票に回答した。

ヘアケア製品と子宮がんの関連は、コックス比例ハザードモデルを使用して定量化した。コックス比例ハザードモデルを使用して、調整後ハザード比および95%信頼区間(CI)を推定し、ヘアケア製品と子宮がんの関連を定量化した。すべての統計検定は両側で実施した。

その結果、平均10.9年の追跡で、子宮がん症例378件が特定された。過去12カ月間での縮毛矯正製品の使用ありは、なしに比べ、乳がん発症率増加と関連した。

12カ月間で4回超の頻繁な使用では、この関連はより強くなった。染毛剤、パーマ、ボディウェーブなどのその他のヘア製品使用は、子宮がん発症と関連しなかった。”

というもの。



論文の著者が所属するNIH (the National Institutes of Health: アメリカ国立衛生研究所) のニュースリリースには以下のように記載されていました。


”The researchers did not collect information on brands or ingredients in the hair products the women used. However, in the paper they note that several chemicals that have been found in straighteners (such as parabens, bisphenol A, metals, and formaldehyde) could be contributing to the increased uterine cancer risk observed. Chemical exposure from hair product use, especially straighteners, could be more concerning than other personal care products due to increased absorption through the scalp which may be exacerbated by burns and lesions caused by straighteners.”

”研究者は、女性が使用したヘア製品のブランドや成分に関する情報を収集しませんでした. しかし、この論文では、ストレートナーに含まれるいくつかの化学物質(パラベン、ビスフェノールA、金属、ホルムアルデヒドなど)が、観察された子宮がんリスクの増加に寄与している可能性があると指摘しています. ヘア製品、特にストレートナーの使用による化学物質への曝露は、頭皮からの吸収が増加するため、他のパーソナルケア製品よりも懸念される可能性があり、ストレートナーによって引き起こされる火傷や損傷によって悪化する可能性があります。”


といった内容が書かれています。


縮毛矯正をされている方からすればかなり恐ろしい内容。

不安になってしまってもしょうがないです。



あまり引っ張っても不安を煽るだけなので先に結論を申しあげます。




全くもって心配ありません。




まず重要なことはこの論文に書かれている”リラクサー”というもの。

日本の記事にはこれを縮毛矯正と記載されてしまっているのですが

このリラクサーというものは日本の縮毛矯正とは全く別物。


論文にはこのように記載されています。

”また、ストレートヘアのためのケア製品にも、問題のある化学物質が含まれている可能性があると話すのは、グッドハウスキーピング研究所で美容・健康 & サステナビリティラボのエグゼクティブディレクターを務めるビルヌール・アラル博士。

「リラクサーは、髪の毛のSS結合を破壊するために、アルカリ性の水酸化ナトリウムを含むと考えられます」。

また、特にケラチン入りのムージングトリートメントには、発がん性物質のホルムアルデヒド(またはヘアアイロンなどで加熱するとホルムアルデヒドに変化する化学物質)が含まれていることが知られており、そのガスを顧客やスタイリストが吸い込むこともある。

「ホルムアルデヒドは製品から揮発するため、髪のお手入れ中に目や粘膜から体内に入る可能性があります」とアラル氏。”



まずこのリラクサーに含まれているとされている水酸化ナトリウムというもの。


日本の縮毛矯正にこの水酸化ナトリウムが配合されることはほとんどありません。

もしあってもペーハー調整の為にごく微量含まれるくらい。


記事のような”髪の毛のSS結合を破壊する”くらいの量なんてありえないんです。


確かに縮毛矯正にはアルカリ剤が含まれています。

しかし日本で使われているアルカリ剤は「アンモニア」「モノエタノールアミン」「アルギニン」といったもので水酸化ナトリウムは使用が制限されています。


この時点でリラクサーというのは縮毛矯正とは別物だという事がわかります。



また記事にはこんなことも書かれいます。

”また、特にケラチン入りのムージングトリートメントには、発がん性物質のホルムアルデヒド(またはヘアアイロンなどで加熱するとホルムアルデヒドに変化する化学物質)が含まれていることが知られており、そのガスを顧客やスタイリストが吸い込むこともある。”


日本の縮毛矯正にホムドアルデヒドを発生させるようなものはありません。


これは「ブラジリアン・ブローアウト」「ブラジリアン・ストレート」「ケラチン・トリートメント」「ケラチン・ブローアウト」と言われている以前からアメリカで人気な工程が縮毛矯正に似ているもの。(アメリカ版髪質改善みたいない感じ)



これらには「ホルマリン」が配合されています。

ホルマリンは理科の授業などで聞いた事があるとは思いますが、生物の腐敗を阻止する働きがあります。

生物の細胞に浸透することで、分子中のアルデヒド基がタンパク質のアミノ基に結合し、タンパク質が凝固するためです。

同じく髪の毛もタンパク質でできているので、ホルマリンを使用することで傷みを防ぐことができると考えられたのです。


そしてこのホルマリンが気化すると有毒なホムドアルデヒドを発生させます。



実際「ブラジリアンブローアウト」と検索してみるとこんな画像がでます。

美容師もお客様もガスマスクをしながら施術している。

アメリカのセレブに人気があるようですがこんな事をしてまでするなんて

さすがアメリカって感じですね。


そりゃあそうですよね。

もし縮毛矯正で有毒なガスが発生するなら誰よりもまず美容師が病気になってしまいます。

そんなメニューがあること自体日本ではありえないんです。




そもそもアメリカでは日本では考えられないような訴訟が沢山おきています。

以前マクドナルドがホットコーヒーが熱すぎて訴えられたことがありましたが

そんな信じられない事でもとりあえず訴えてみる文化みたいです。

(万が一勝てたらラッキーみたいな)


そしてそういった情報が日本に入ってくるときにどうしても事実と異なる内容に改変されている事が多数あります。


十数年前に”カラー剤が体内に入り癌になる”みたいないわゆる経皮毒と言われるものがネット上に出回っていましたが、結局あくまで噂話程度でありそれを立証するものが何もなかったのでそんな話もいつの間にか無くなりました。



今回の論文にも書かれているようにカラーやパーマなどが癌に結び付くこともないんです。


どれももし本当なら毎日そんな薬剤を触っている私達美容師が一番危ない。

そんなリスクを抱えて仕事をしたくはありません。


どこかに「だから美容師は手袋をしてるんだ!」というため息しかでないようなコメントが書いてありましたが

毎日何度もお湯で手を洗う私たちが手荒れをしないように気をつけるのは当然です。


そんな当たり前の事ですら勘違いしてしまう位ネットの情報に振り回されてしまうんですよね。




まとめ


今回の記事にのっている縮毛矯正はアメリカのリラクサーというものであり日本で行われている縮毛矯正とは全く別物。

日本の縮毛矯正に癌のリスクはありません。

そもそも日本の薬剤はかなり厳しく審査されているのでそんなものは発売できないかすぐに発売禁止になっていしまいます。

その他パーマやカラーにもそういったデータはありません。



周りで心配されている方がいたら教えてあげてください。


追記

一部の美容室では海外から輸入した日本では認可の下りていない薬剤(今回のブローアウトのようなもの)を使用しているところがあるみたいです。

本来なら違法ですが、何を使っているかまではお客様は確認できないとことなのでそういった美容室には注意が必要みたいです。

やはり縮毛矯正は信頼できるサロンで行ったほうがいいですね。

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